3日間で、大人の疳の虫の正体、脳の中の「情報の漏れ出し」、日常のセルフケアを学んできました。今日はもう一歩踏み込んで、日本に古くから伝わる「体から整える」知恵についてお話しします。
更年期の不調でいちばんつらいのは、症状そのものだけではありません。「誰にもわかってもらえない」という孤独感ではないでしょうか。
男性の場合、そもそも「男性更年期」という言葉を知らない方がまだ多いです。動悸、寝汗、朝の異常な疲労感、やる気が出ない。「歳のせいだろう」で片付けてしまう。男性更年期(LOH症候群)は、「認知されないがゆえの苦しさ」を抱えています。
女性の場合は、「更年期でしょ」と知られてはいるものの、つらさの度合いは人それぞれなのに「みんな通る道だから」と我慢を求められる。
もし今、「誰にも言えない」「わかってもらえない」と感じているなら——あなたは一人ではありません。同じ悩みを抱えている方は、男女を問わず、想像以上にたくさんいらっしゃいます。
更年期の不調に対して、西洋医学ではホルモン補充療法が中心的なアプローチです。女性にはHRT(ホルモン補充療法)、男性にはTRT(テストステロン補充療法)。いずれも「減ったホルモンを外から足す」——つまり「燃料の補給」という発想ですね。
即効性はありますが、外からホルモンを補充し続けると、体が自分でホルモンをつくる力が弱まってしまうリスクもあります。
一つは養生訓の思想。貝原益軒が江戸時代に著した養生訓は、食事・運動・睡眠・入浴といった日々の営みを通じて「体の気を整える」ことを説きました。これは、Day3でお伝えしたセルフケアの原型とも言えます。
もう一つは温泉療養やよもぎ蒸し。自律神経の乱れに対して温泉で体をリセットしたり、女性たちが薬草風呂やお灸で冷えを取り、気の巡りを整えたりする知恵は、今も日本各地に残っています。
そしてもう一つが、生薬(和漢薬)です。
生薬ケアの本質は、外から何かを足すことではありません。体が本来持っている「自分で整う力」を取り戻すことです。
Day2で学んだ「情報の漏れ出し」は、自律神経の司令塔の問題でした。この暴走を鎮めるアプローチは、大きく分けて二つあります。
一つは、パニックを起こしている司令塔を直接落ち着かせるという「トップダウン型」。脳の過剰な興奮をやさしくなだめていく考え方です。
もう一つは、心臓の働きを助けて全身の血のめぐりをよくし、体の側から脳に「大丈夫だよ」という安心の信号を送る「ボトムアップ型」。血のめぐりが改善すると、脳は「もう自律神経を興奮させなくていい」と判断して、パニック状態を解除してくれるのです。
どちらが正しいということではありません。ご自身の症状や体質に合ったアプローチを選ぶことが大切です。
男性には「薬に頼るのは弱い」「まだ自分でなんとかできるはず」という気持ちがあるかもしれません。女性には「更年期は我慢するもの」「みんな通ってきた道だから」と飲み込んできた苦しさがあるかもしれません。
でも、思い出してください。自律神経は「気合」では整いません。そして「我慢」で治るものでもありません。
養生訓も温泉も薬草風呂も生薬も、すべて「体を通じて自分の力を引き出す」という同じ思想でつながっています。生薬は、セルフケアの延長にある選択肢であって、「ギブアップの証」でも「甘え」でもありません。体がつらいなら体から整える。それは自分を大切にすることです。
Day3のセルフケア(呼吸・入浴・腸活)と、体からのケア。この両輪で取り組むことが、自律神経のバランスを取り戻すいちばん現実的なアプローチです。
どちらか一方だけでなく、できることを少しずつ。焦らず、ご自身のペースで整えていきましょう。