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続・郷愁   

現在は車で気軽に行ける実家ですが、昔はほと
んど陸の孤島状態。そんな場所ですから、周り
には豊かな自然が溢れていました。


私が小さいころは、実家に行くには駅から1時間
に1本あるかないかのバスに乗り、降りたバス停
から更に2キロ近く歩かされました。
そのころ家に車がなかったもので、夏休みに実家
に行くと、ほとんど1ヶ月間幽閉状態でした。
テレビもない、本屋もない、あるのは自然だけ。
姉と二人で朝から晩まで虫や魚を取ったりして遊
んでいました。トンボ、チョウチョ、セミなどはもちろ
ん、カブトムシなど樹になるように沢山いて、昆虫
採集には事欠きません。
家のそばの小川に蛍もいて、夏の夜の風物詩で
もありました。
唯一文明の窓口は、実家の前にあった一軒のお
店でした。何でも扱う「よろず屋」でしたが、売って
いたのは必要最低限の生活雑貨とわずかな食料
品のみ。
それでも、小銭をもらって姉と飴玉を買いに行くの
を楽しみにしていました。
いまは宇都宮まで車で30分もかかりませんが、
当時はちょっとしたプチ旅行。単調な毎日の中で、
たまに宇都宮に行こうなどといわれたら大喜び。
駅ビルでお昼を食べて、オモチャを買ってもらうの
が至福の時でした。
実家のお風呂は、母屋から離れた所にある五右
衛門風呂(石川五右衛門が釜ゆでになったという
丸い鉄製の風呂)でした。釜には熱くて触れない
ので、板を沈めて上に乗り、よりかかることもでき
ません。
ぬるいときは大声で母を呼んで火をたいてもらい、
熱いときは井戸水のポンプでうめました。
 
 いまお風呂場の跡には、祖母が植えたゆりの
 花が咲いています
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夜は真っ暗になるので、明るいうちにお風呂に入
ってしまい、食事が終わると長い夜が始まります。
周りに何もないので、季節によっていろいろな自
然の音が聞こえてきます。
冬の夜はシーンと静まり返り、聞こえてくるのは
遠くを走る汽車の汽笛ぐらい。
暖かくなると、ハトやフクロウの物悲しい鳴き声が。
夏にはカエルの合唱や、夜でもうるさいセミの音。
秋になると虫の声が聞こえます。
夏の夜は、暑いのでガラス戸を開けて寝ますが、
網戸などなかった時代、虫除けのカヤ(目の細か
い大きなネット)の中で寝るのですが、朝になると
部屋中に、大きなガやオニヤンマ、カナブン、トンボ
など沢山の虫が足の踏み場もないぐらい死んでい
ました。
その後、ヘリコプターで畑に農薬を撒くようになり、
一時虫がまったくいなくなりました。何しろ人がい
ようがいまいが、上空からまっ白い殺虫剤をぶち
まけるのです。
祖母が「ウチは特にサービスしてくれて沢山撒い
てくれる」と言っていたぐらいですから、人体への
影響などあまり気にしていなかったのでしょう。
まるでいま話題のどこかの国のようです。
最近は農薬も減らされ、また虫も増えてきました。
そんな夏休みを過ごし、休み明けに幼稚園に行く
と、真っ白な子供たちの中で、私と姉だけが真っ
黒だったと母が言っていました。