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命を、語る。
四百年を超える小児用生薬と、四十億年の海から生まれた塩。
舞台もテーマもまるで違う二者が、同じひとつのことを語っていた。
四百年を超える小児用生薬の家と、四十億年の海から塩をつくる家。舞台もテーマもまるで違う二者の対談だが、語っているのは同じことだった。すなわち「命を保つしくみ」を、自分たちの暮らしの内側に取り戻すこと。子どもの夜泣きから更年期の揺らぎ、そして防災まで、話は途切れずに連なっていく。栃木県高根沢町・宇津救命丸の書院から届けた、一時間の記録である。
安土桃山から続く家と、十年目の塩屋
本日は栃木県高根沢町、宇津救命丸さんの書院からお届けします。創業四百年を超える生薬の会社、なんと安土桃山時代から続いている会社です。司会を務めます、山口県で製塩業を営む百姓庵の井上です。ではさっそく、宇津さんから自己紹介を。
宇津救命丸の社長をしております、宇津善行と申します。当社は栃木県高根沢町、この町で今から四百二十九年前に初代が創業しまして、私は十九代目になる予定です。今日は十八代目もそこにおりますが、代々宇津家がこの「宇津救命丸」を創製し、ずっとこの高根沢でつくり続けているのが特徴です。
もともとは「施薬(せやく)」――施す薬、と書いて施薬と言いますが――周囲の人たちの健康のために、無料で配っていたところに端を発します。それが代々つながり、いつしか広く知られるようになって、一橋家に献上されたりしてだんだんメジャーになり、今では全国のドラッグストアやオンラインでも扱っていただいています。子どもの夜泣きやかんしゃく、いわゆる「疳の虫」といった場面で使われてきた商品で、創業以来この地でつくり続けています。
安土桃山時代ですからね、本当にびっくりです。一万坪の敷地に、夫婦ともに感銘を受けまして。では主人の方からも。
百姓庵という会社の代表をやっております、井上友善と申します。山口県長門市油谷向津具という半島にくっついた島、油谷島というところで塩を製造しています。
「百姓庵」という名前の由来の通り、「百姓」とは「百の生」、百の事業・仕事をする人という意味で、それを目指して、最初は自給自足的な暮らしから始まりました。今は法人として、過疎化があまりに進みすぎたこの地域で、雇用を生みながら持続可能な事業を次の世代に継承していけるような場所にしたい――その思いで二〇一七年に法人化し、ちょうど十年目を迎えます。
四百年と比べたら、たった四十分の一の歴史ですね。
いやいや、本当に浅い歴史ですけれども。個人事業主から立ち上げましたので二十年、自給自足自体は三十年やっていますので、一応三十年の歴史を持っています。その中で製塩業を一番の柱にしています。
命を救う薬、という名前
今回「命」というテーマですが、私たちの商品「宇津救命丸」には、まさに「命」という文字が入っているんですよね。今この薬が直接命を救う薬というわけではないと思うのですが、昔はそうだったんです。江戸時代はこの救命丸を一粒、二粒持っておいて、何かあった時に――昔は医療がそこまで発達していませんし、救急車もないわけで――いざというときに使っていた。
商品を見せていただいてもいいですか。赤ちゃんから飲めるんですか。
西日本では宇津救命丸はそれほど有名ではないのですが、東日本では知られています。直径二ミリの非常に小さい丸剤で、いま妻が近くで見せますね。生後三ヶ月から飲めます。処方は昔とほとんど変わっていません。
ケーキの上に乗せるアラザンと間違えられるくらい小さいんです。お口の中に入れますし、哺乳瓶の先につけて奥に入れていただいても、そのまま飲んでもらえます。本当に赤ちゃんから使えるので、品質には特にこだわっています。
「命」の話に戻すと、もともとは命を救う薬として使われていたものが、明治時代ぐらいに、子どもたちの栄養状態が悪かったので、子ども専門の薬としてターゲットを子どもに集中させていきました。戦後は住宅事情が悪くなったので、夜泣きやかんしゃくといった文脈で使われるようになっていったんです。
では今、直接命を救うかというとそうではないけれども、いま非常に悩んでいるお母さんが多くて、お子さんのかんしゃくや夜泣きによる間接的なお母さんのストレスが増えている。育児ノイローゼですね。産後の死因の一位は、実は自殺だと言われています。子育ての孤立化、お子さんとの関係、旦那さんとの関係。そういったことに悩んでいるお母さんは非常に増えていらっしゃる。病気じゃないんだけれども、すごくQOLを下げてしまう。そこに向き合う商品として、ずっとつくり続けています。今でも救える命があるのかな、と。
動物性生薬と腸脳相関 ― 四百年前の処方
そもそも、どういう処方なんですか。原因って結構難しいじゃないですか、精神的なことだったり、子ども自身も気づいていないのに。組み立てを知りたいです。
この話、三十分ぐらい話せちゃうんですけど、簡単に言いますと――「動物性の生薬」が入っているんですよ。漢方薬は植物が多いのですが、動物性のものはすごく高くて、一キロ何千万もする「牛黄(ごおう)」、薬の王様と呼ばれます。それと「麝香(じゃこう)」など。加えて植物性の生薬が四つ入っていて、こちらはどちらかというとお腹のほうに向き合う組み立てです。
いま「腸脳相関」って聞きますよね。腸と脳が繋がっていて、「第二の脳」と言われる。それが、もう四百年前から組み込まれていたと。
恐ろしいですよね。なぜこの処方になったのかは分かっていないんですけれども、調べてみると、腸からのボトムアップと、自律神経への働きかけ、その両輪になっている生薬構成なんです。
最近じゃないですか、それが言われ始めたの。四百年前に、初代はどうしてそんなことを。
いろいろ試して、結果がそうなっていた、ということでしょうね。江戸時代までは実は一子相伝で、書物に残されていないので、当時の処方ははっきりとは分かっていないんです。家長がこもってつくっていた小屋が、いまも敷地内にあります。ただ明治以降はほとんど変わっていなくて、動物性生薬と植物性生薬の混合になっている。世界的にもあまりない処方なんですよ。中国の一部の高価な商材か、日本のこういった伝統薬にしかなくて。
アクセルとブレーキ ― 子どもの夜
夜泣きやかんしゃくにお困りのお母さんは多いと思いますが、まず「自律神経の乱れ」があります。お子さんは脳がすごいスピードで成長していくのですが、発達が追いつかない。本能系(アクセル)が先に発達して、それをセーブする側(ブレーキ)が後からついていく。そのアンバランスが自律神経の乱れにつながり、何度も起きてしまったり、恐怖で起きて泣いたり、日中もちょっとしたストレスがトリガーで感情が爆発してしまう。
言語化できないですからね。
ストレスを表現できないことそのものがストレス。そのモヤモヤが、かんしゃくとして出てきてしまうんです。
コメントが届いていますね。「飲んでいます」「昔飲んでいました」。ありがとうございます。「飲ませてみたいです」というコメントも。情報過多の時代だから、どの情報を取っていいか迷ってしまう。本当にいろんな意味で総合的に「これは間違いない」というものは、結局口コミなんですよね。
SNSのインフルエンサーを使ってとか、いろんなやり方がありますけれども、口コミが一番間違いない。四百年続いているということは、メディアがなかった時代に口コミの連鎖で続いてきたということ。私たちのほうはたかだか二十年ですけれども、四百年続く理由はそこにあるんじゃないかと思います。
海から始まる命 ― 四十億年を体に内包する
ではお塩のお話を。世の中では減塩、減塩と言われますね。
まず大事なことを知っていただきたいのが、塩の役割は地球の歴史から紐解かないとわからない、ということなんです。
四百年どころの話じゃない。
そうなんです。四十億年の歴史です。海って水なんですけれど、最初は酸っぱかった、ご存じですか。塩酸やアミノ酸の酸性の海だったんですね。「酸」が何にすごいかというと、溶かす力が強い。それが大地の成分や、海底火山、熱水噴出口から湧いてくるものを溶かし込み、ミネラル――鉱物ですね――が蓄積していった。そうやって今のしょっぱい海水になっていった。
そのしょっぱくなった海の中で、八十から九十種類のミネラルが集まったことで、ある日、生物が誕生した。それが約四十億年ほど前です。
話を進めましょう、止まらなくなるので。
はい、ここから早くいきます。生命が誕生して、僕たちの体は、いま陸上で暮らせる形になるまでに、「海」を体の中に内包し続けることで陸上にいるんですね。体の中の細胞は、いまも昔の太古の海水を真似た体液の中にいて、海の中にいると思い込んでいる状態です。
体の中の細胞は、いまも太古の海水を真似た体液の中にいる。
私の体の中の細胞は、いまも海にいると勘違いしている、と。
勘違いというより、その状態だからこそ陸で暮らせている、ということです。でも陸では、汗をかくことで水分も塩分も出ていく。汗をかくとしょっぱい、塩も吹くじゃないですか。あれはまさに海と同じ成分です。
僕たちの恒常性、その日々を担っているのは、実は塩なんです。あらゆる元素が揃っていることで化学反応が起こり、電気が通って神経の伝達ができる。だから体は常に動かせる。水だけでは、体は動かないんです。
お水だけ飲んでいても、熱中症は良くならないと言われますものね。
四百年続いている薬と同じように、四十億年の歴史を引き継いできているんですね。
地球が体の中に詰まっている、と。
大地の成分、空気中の成分、すべてが海に集まって、その中で命が誕生し、今日に至っている。これからも僕たちは絶対に問い続けなければならないところです。
恒常性を「助ける」 ― 漢方の発想
もちろん生命に必要なものを取っていても、人はストレス社会の中にいたり、季節の変わり目があったりして、恒常性を超えてしまうときがある。自律神経が乱れて、イライラしたり落ち込んだりということが出てきてしまう。
ここは漢方の考え方が面白くて、人間が持っている恒常性を「助けてあげる」コンセプトなんです。何かをシャットダウンする、ストップするのではなく、その人が持っている力を引き出す。これは生薬系の発想で、五疳薬もまさにそうです。本来「夜泣きをしたくない」「かんしゃくを起こしたくない」のだけれど、それを取り戻す力を支えるものだと思っています。
塩も同じで、海を模倣した体液を維持し続けないと、僕たちは陸で生きていられない。何かを足して強くするのではなく、もともとあった状態に戻していくという発想です。
大人の「なんとなくの不調」と、疳の虫という知恵
いま発達の特性の話、よく聞きますよね。早い子、遅い子。「特性がある」と言われたり、もう少し強い言葉だと「発達障害ではないか」と。私も小学校一年生と三年生になる子どもがいて、気持ちが安定していないとき、今日は落ち着きがないなとか、息子が夜にわけもわからず泣くということがあって、「夜驚症」というものに近いのかな、と。
夜驚症は、夜にバーッと起きて、夢遊病のように夢の中にいるような感じで叫んだりする。本人に記憶はないのですが、夢と現実の狭間にいる状態。夜泣きに近いものですね。
検索すると「発達障害かもしれない」と出てきたり、学校の連絡帳で「ちょっと気になります」と書かれたり。境目がすごく曖昧で、特性は誰しもが持っているもの。子どものころは特に誰でもあるし、大人だって、私もすごく忘れん坊だし、落ち着きがないし、他のことが気になっちゃって集中できないときもある。
だから、ネットで「発達障害グレー」という言葉が飛び交っているのが気になっていて、本当にそうなのか、正しい情報をつかんで冷静に見てほしいなと。もちろん必要なら医療の力を借りるべきですけれども、特に子どもは一時的に脳の発達のアンバランスさが現れているだけかもしれない。
子どもも辛いんですよ、感情をコントロールできないって。だから親が見極めて対処してあげることが大事で、五疳薬じゃなくても、毎晩アロママッサージをしてあげるとか――触れられるとオキシトシンが出て心が落ち着くので――いろんな対処法を子どもに教えてあげる。
親としても、その選択肢があることが安心材料になりますね。何していいかわからない、というときに「そんなのがあるんだ」と知っているだけで全然違う。
ここに「疳の虫」という日本古来の考え方があるんです。子どもがわけもわからずに泣いたり、夜キーキー起き上がったり――そういうことを昔の人は「疳の虫」と言った。当時は病原体もよく分かっていなかったので、何か虫が人の中に入って悪さをしていると捉えられていました。
何がいいかというと、しつけのせい、子どものせい、親のせいにしないところなんですよ。「虫がいるから」なんだ、と。日本は村社会の中でどこにも逃げ場がない。大陸のように広くない。その中でみんな育児をしなきゃいけないとき、「虫がいるから仕方がないよね、じゃあ救命丸を飲ませよう、疳の虫神社に祈祷しに行こう」と――そういう発想になったんじゃないかと思っていて。
しつけのせい、子どものせい、親のせいにしない。「虫がいるから」なんだ、と。
日本人らしい奥ゆかしさというか、他者や環境のせいにしない。五十三歳になる私も、更年期で無性にイライラしたり、後で振り返って「なんでこんなことに」というときがあります。
男性更年期もそうですが、ホルモンバランスが関わっています。子どもの自律神経の乱れは脳の成長のアンバランスから来ますが、大人は性ホルモンの変化で、更年期になると自律神経が乱れやすくなる。「なんとなく不調」「ボヤがかかった感じ」「イライラしやすい」――そういう形で現れる。
お医者さんに行っても「なんともないよ」と言われがちで、まさに「未病」と病気の境目の状態。奥さんに相談しても「気合いが足りないんじゃない?」、誰に相談しても「抱えすぎ」で片付けられてしまう。
なんとなくの不調だらけですよ、世の中。お客様はどんな方が多いんですか。
言語化できない不調なんですよね。大人向けのほうは、まず宇津救命丸を知っている、あるいは飲んでいた人が圧倒的に多いんです。インタビューしていて面白かったのが、「子どもの頃に救命丸を飲んでいたときの気持ちを思い出す」と言うんですよ。五十歳ぐらいになって、なんとなくモヤモヤしたりイライラする気持ちが、子どもの頃にかんしゃくを起こしたときの気持ちらしい。「あの感覚がまた戻ってきた」と。
そう考えると、子どもがかんしゃくを起こしているときも、おそらく同じようなモヤモヤ感があるんだと思う。つまり子どもも、なんとなくの不調で苦しいんです。親の目線ではその場で「夜泣きを止めなきゃ」と思いがちですが、それ以上に子ども自身が辛いんだろうな、と、大人へのインタビューから分かってきました。
いまから必要ですよ、これは。大人でも自分の感情をコントロールできない人は増えていますし、原因も分からない。結果としてイライラやモヤモヤとして出るだけで、そこを整えていくという発想は、いまの時代に合っていると思います。
もちろん精神の病そのものを治す薬ではありませんし、そこに至ってしまえば五疳薬の役割ではありません。ただ、「なんとなくの不調」に対処できる方法を知っているか知らないかで、QOLは随分違ってくると思います。あくまで医師の領域ではなく、軽い揺らぎをセルフケアで補っていく――それがいま求められているんじゃないかと。
なんでもいいんです。リラックス方法を知る、サウナに入る、対処方法をいくつか持っておいて、「いまの気分ならこれだな」と発散したり対処したりする方法を、子どもの頃から身につけて、大人になってもコントロールできるようにしておく――それがすごく大事です。
可視化して、対処する ― 疳の虫くんメソッド
いま「疳の虫くんメソッド」というものを開発中なんです。お子さんの心の状態をシールにしていて、ノーマルな疳の虫くんがいるんだけれども、ちょっと赤くなってレベル1、レベル3、レベル5まで段階がある。子どもがかんしゃくを起こしたあと、収まったタイミングで「いま、どれぐらいだった?」と聞くんですよね。「さっきはこれぐらいだった」と反応してくれる。
そうすると、いまどういう状態かを可視化できて、対処しやすくなる。今日は赤いのが多かったから早めに寝ようか、寝る前のスマホをやめようか、とか。これは、自分で情動をコントロールしようとするトレーニングだと思っているんですよ。
認識する、というのが大事。言語化できなくても、チャートだったら表しやすい。
大人もそうだと思うんです。物事に集中しなきゃいけない時にモヤモヤがあって、それが邪魔をする。それをコントロールできるかできないかで、全然違う。
子どもだけじゃない話ですね、これは。
その仮説をもとに今、開発しています。ライブのコメントで、鍼灸師の方から「虫封じで親に意図を見せる」というお話もいただきました。日本全国に「疳の虫神社」があって、虫封じのおまじないをすると手の指先から「疳の虫」が出てくるように見える。それを見るとお母さんもお子さんも整っていく。可視化して対処する、それを見えないものに対してやってあげるのは、すごく大事なことだと思うんです。
適塩と防災 ― 体の声に従って取る
百姓庵の塩は、日経新聞の「おむすびに合う塩ランキング」で、世界四千銘柄中の二位に選ばれたんです。だからやはり、おむすびが一番おいしい。あとはソースで食べるようなお料理――とんかつ、ハンバーグ、焼肉――をソースを抜きにして塩で食べる。これがめちゃくちゃおいしいです。
うちの子はあまりお米を食べないんですけれど、いただいた塩でおにぎりを作ったらすごく食べるんです。蒸し野菜にもいい。せいろで蒸した人参とか、いつも残されがちなのに、この塩だとパクパク止まらない。子どもが一番正直ですね。
あと一つ、皆さんやられていないので、お伝えしたいことがあります。塩壺をテーブルに置いてほしいんです。なぜかというと、「適塩」を考えていただきたい。
同じ家族でも汗の量が違うんです。子どもと大人、オフィスワークと肉体労働、それぞれ汗の量が全然違う。ということは、必要な塩分量も全員違う。だから、自分で必ず塩味をつけていただきたい。最初にベースの味付けはあっていいんですが、足りない人はもっと取ったほうがいい。
ただ、腎臓が悪い方は排出が難しいので、持病があってお医者さまから言われている方は、その指示に従ってください。そのうえで、世の中で言う「減塩、減塩」を一律に当てはめるのではなく、「適塩」で考えたい、ということですね。
いちばん分かりやすい目安として――舐めて「甘い」と感じているときは、まだ足りていない。「しょっぱくて、もう取りたくない」と感じたら、足りている。体は足りるとすごくしょっぱく感じて、それ以上は取れなくなる。体は正直です。
体の声を聞くのが一番。それともう一つ。これから南海トラフや首都直下地震、何が起こるか分からない。防災バッグに非常食を三日分入れている方は多いけれど、お水とお塩は必ず入れておいてください。
意外と入っていないんですよ、防災グッズの中に。
塩は賞味期限がないので、永久保存できます。皆さん、防災バッグに必ず塩を入れてください。
母なる海と、心のセルフケア文化を
最後に「これだけは伝えたい」ということがあれば。
一番伝えたいのは、「僕たちは海と切っても切れない関係だ」ということです。皆さん、「海」という漢字、書けますか。さんずいに「人」の「母」と書く。言い方を変えると、母なる「人の水」。だから、海は僕たちのお母さんなんです。読み仮名は「うみ」――「生み」の場所。生命が生み出された場所。昔の人は漢字に全部込めているんです。
そして、陸上で出したものはすべて海に集まる。だから僕たちが生活するということは、海を汚さないようにしないといけない。守れる、きれいにできる社会に変えていく。今日のライブを見た方は、家族でも友達でも親戚でも誰でもいいので、「海とのつながり」だけでも伝えてください。それが世界中につながって、「みんなで海を守ろう」が社会の常識になっていく。そうなれば嬉しいなと思っています。
私たちがやりたいのは、「心のセルフケア」をもっと当たり前にしていきたい、ということです。先ほどの疳の虫のように、わからないものに対して可視化して対処していく。特に心の問題に対して、「虫の声を聞いて対処する」という文化が日本にはあったんですよね。
医学が発達して体の状態は対処できるようになった。だいたいの病気は解決できるようになった。けれど、心の未病状態、不調状態は全然減っていない。これに、昔ながらの生薬や伝統的なもので向き合えるものもあるんじゃないか。これからずっと、そのPRをしていきたい。「昔から人間が持っていたものを、もう一回見直していこうよ」――井上さんとも、近いものを感じています。
「心のセルフケア」を、もっと当たり前にしていきたい。
法被を脱ぐと、お二人とも同じようなオーラを放っていらっしゃる。好きなものも似ているし、やることも似ていて、初対面とは思えなかったです。
シンパシーが。前世、二人ともお坊さんだったんじゃないですか。ここで座禅、やってほしいですね。すごくいいと思います。
先日、高根沢町と包括連携協定を結びました。この文化財や敷地を観光用途として活かしていく文脈でも町と連携していきます。ここに来ていただいて、ここに触れていただくのが一番いい。ここに来ると、整うんですよ。
今日は本当に山口県から栃木県までお越しいただいて。視聴してくださった方が一時間で延べ五十五人分。それは五十五時間の時間を私たちにいただいたということで、本当に感謝です。これからも有意義な情報発信をしていければと思います。励みになりました、ありがとうございました。
Afterword
あとがき(編注)
二者の語りは、表面的にはまったく違う事業の話に見える。生薬と塩、子どもと海、医学と地球史。だが対談を通じて浮かび上がるのは、共通して「人が本来持っている力を、外側から押さえつけるのではなく、内側から引き出す」という思想である。漢方の恒常性、海から続く体液、疳の虫としての可視化――いずれも「人を、生きものとして扱う」発想にほかならない。
減塩の常識を疑い、発達のラベルを疑い、医学的な「正常」を疑う。その態度は、二人が四百年と四十億年というまるで違う時間軸を背負っているからこそ、説得力を持って結ばれていた。本記事は約五十八分のインスタライブを、読み物として再構成したものである。答えではなく、問い直しのきっかけとして読んでいただけたらと思う。
収録:栃木県高根沢町・宇津救命丸書院/読みもの編集部
Products
対談に登場した商品について
記事の中で触れられた宇津救命丸と、大人向けの五疳薬。それぞれの商品情報は、下記のページでご覧いただけます。百姓庵の塩については、百姓庵の公式サイトをご参照ください。
宇津救命丸/大人の五疳薬は医薬品です。添付文書および使用上の注意をよくお読みのうえ、用法・用量を守って正しくお使いください。ご不明な点は医師・薬剤師・登録販売者にご相談ください。本記事は対談の記録であり、特定の効果を保証するものではありません。